クリスチャンとこの世 コロサイ人への手紙4:2~6

使徒パウロはコロサイ教会に「目をさまして、感謝をもって、たゆみなく祈るように」伝えました(コロサイ4:2)。祈りはクリスチャンにとって、この世の誘惑と試練に打ち勝つための最大の武器であります。先週、私たちの教会員である90歳の女性が胃がんの手術を受けました。「超高齢の身体に長時間の手術が耐えられるだろうか?」と心配でしたので、水曜祈祷会に出席した全員が、心を合わせて、この姉妹の手術の成功を祈りました。さらに、翌日の手術が実施される予定時刻にも熱心に祈りました。すると、その姉妹の娘さんから、夕方、「3時間半に及ぶ手術が成功し、ガンの箇所を全部摘出することができました。お祈り有難うございました。もし、この手術が遅れたら、末期状態にあるガンが他の臓器に転移する状況にあったのです。」というメールが届き、直ぐに私たちは感謝の祈りをささげました。 “イエス・キリストの名によって祈る”なら、その祈りは聞かれるのです(ヨハネ14:13)。

 続いて、パウロは「神が御ことばのために門を開いてくださって、私たちがキリストの奥義を語れるように祈ってください。また、私がこの奥義を、当然語るべき語り方で、はっきり語れるように、祈ってください」と伝えました(コロサイ4:3~4)。彼はその時、牢獄におり、辛く厳しい環境に置かれていました。このような状態にあっても、パウロの願うところはいつも福音宣教が第一の祈りの課題でした。彼はローマで処刑されて生涯を閉じますが、その祈りのリクエストの通り、パウロは番兵付きで自分だけの家に住むことが許され、満2年の間、自費で借りた家に住み、訪ねて来る人たちを皆迎えて、大胆に、少しも妨げられることなく、神の国を宣べ伝え、主イエス・キリストのことを教えることができました(使徒28:30~31)。

最後の勧めとして、パウロはこの世の人々に福音を正しく伝え、信仰の証をするための大切なポイントを語りました。すなわち、「外部の人に対して賢明にふるまい、機会を十分に生かして用いなさい。あなたがたのことばが、いつも親切で、塩味のきいたものであるようにしなさい。そうすれば、ひとりひとりに対する答え方がわかります。」(コロサイ4:5~6)。

外部の人、つまり、イエス・キリストのことをよく知らない未信者の人達に福音を伝えるとき、彼らに失礼なことを言ってつまずきを与えて聴く耳を失わせないように、賢明にふるまうこと。さらに、彼らが聖書に対して関心を持って来た時、それを見逃さず、好機を生かして福音を有効に伝えることが、大切な第一のポイントです。

 また、あなたがたが語ることばにおいても、聞く人の気持ちを配慮して、聖書のことばが相手の心に届くように語り、味があって退屈にさせないようにすることが第二のポイントです。そのことにより、ひとりひとりに対する答え方がわかるのです。つまり、聞く人の個性に応じて、最も適した対応が取れるようになるということです。このことについてもう少し詳しく説明いたします。

 私の尊敬する吉持章先生が6月14日に83歳で召天されました。先生は家庭の中で不遇な少年時代を過ごされ、大工の見習いになられた。17歳の時に自分の将来に絶望して、ヤクザになろうと岡崎城の公園をさまよっていたとき、天幕伝道で語られた福音を聴いて、回心し、イエス・キリストを信じ、その後の生涯を常に神と共に歩まれ、素晴らしい業績を残された先生です。この先生に私は大変可愛がっていただきました。

2012年6月に行った私たちの教会の特別伝道礼拝と信徒研修会の講師に、吉持章先生をお迎えしました。その集会は大変恵まれました。特に、先生は自分の生き方を赤裸々に語られ、どんな時もイエス・キリストを信じて歩まれた証は感動的でした。集会が終わった後、先生からいろいろとアドバイスを頂きました。その一つを今から紹介します。

吉持先生は河原に行っていろいろな石を拾つたり、山に行って木株を拾ってくるのが趣味でした。拾った石は、それぞれ、曲がったものもあれば、角ばったものも、傷ついたものもある。それら癖のある石を回しながら、いろいろな角度から見ると、どこか良い点、何か光るものが見えてくる。その光る部分を磨いていくことにより、素晴らしい飾り物になる。 教会にはいろいろな人がやって来る。へそ曲がりの人もあれば、角立てる人や、心が傷ついた人もいる。そういう人であっても、良いところが必ずある。その良いところを磨いてあげれば、素晴らしいクリスチャンになる。また、未信者についても、福音を全く受け入れようとしない堅い岩のような人であっても、その人に拠り添って、話をよく聞いてあげると、自分から聖書のことばを求めて来るようになる。とにかく、ひとりひとりの個性を尊重して、忍耐深く伝道、あるいは牧会することが大切であると教わりました。その後、私は、先生のアドバイスに従って、できるだけ教会の皆さんの意見や、地域社会の人々との交わりを大切にして、信頼関係を構築することに努めてまいりました。そのことを通して、自分の信仰や教会についても認めてもらえるようになり、沢山の恵みを味わってきました。ぜひ皆様も、パウロが教えたアドバイスにチャレンジしてみてください。皆様の上に主なる神の豊かな祝福がありますようお祈りします。 (牧師:北林行雄記)

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