パウロの惜別説教 使徒の働き20:17~24

 使徒パウロは少年期からユダヤ教パリサイ派の教育を受けた熱心なユダヤ教徒で、キリスト教徒を激しく迫害した。しかし、彼がクリスチャンを捕えるために向かったダマスコ途上で復活されたキリストに出逢って劇的な回心をしてクリスチャンに変えられ、三回の伝道旅行を通して、当時のアジアやヨーロッパにも福音を伝えた。

 第三次伝道旅行中に、パウロはミレトスからエペソに使いを送って教会の長老たちを呼び寄せた。長老たちは当時の各教会の責任者で、今日の牧師に当たる。そして今後、自分たちに降りかかる迫害と殉教を想定して、集まった長老たちに惜別の説教をした(使徒20:18~35)。その中で、今朝は前半部分から学びたい。説教は大きく分けて3つのポイントがある。

1. パウロ自身に降りかかった数々の試練の中で、謙遜のかぎりを尽くし、涙と共に主に仕えてきたこと(19節)。厳しい環境の中でひたすら忠実に主イエスに従う彼の姿は印象的である。しかも、彼は益になることは、公衆の前でも家々でも、余すところなく伝え、教えた。キリストの恵みを皆に知ってもらいたい熱意の表れである。

2. ユダヤ人にもギリシャ人にも神に対する悔い改めと、私たちの主イエスに対する信仰を証してきたこと(21節)。私たち人間は生まれながら罪人である。神の子、イエス・キリストは人間の身代わりに十字架にかかって死に、3日目に復活された。それ故、自らの罪を悔い改め、イエス・キリストを救い主として信じるなら皆、救われる。すなわち、福音をパウロが接した人々皆に伝えてきた。

3. パウロは聖霊から鎖と苦しみが待っているという知らせを受けても、自分の走るべき工程を走りつくし、主イエスから受けた、神の恵みの福音を証する任務を全うできるなら、自分の命は少しも惜しいとは思わない事(24節)。迫害者からクリスチャンに変えられた彼は福音宣教に自分のすべてをかけ、最後は殉教した。

救世軍の日本司令官だった山室軍平は晩年、「私は戦いを立派に戦い抜き、走るべき工程を走りつくし、信仰を守り通した。今や、義の冠が私を待っている。」と言った。彼は飲まず食わずの試練や、世の悪との戦いにも勝利し、多大な功績を残した人物である。さらに、彼は次のように言った。「このわざを完成させたのは自分ではない。イエス・キリストであった。自分はただ彼の兵卒として働いてきたのである。人が本当に神の御心にかなうことを計画したなら、きっと神はこれを助け、完成させて下さることがわかった。自分の生涯はまさにこのことの証であった。」と。私たちはパウロや山室軍平のような大きな働きは出来ないが、主の御心と確信することがあれば、たとえ苦労することが目に見えても心を騒がすことはない。主があなたを助け、御心の業を必ず実現させて下さるのである。それゆえ、「あなたがたのすることは、ことばによると行いによるとを問わず、すべて主イエスの名によってなし、主によって父なる神に感謝しなさい。」(コロサイ3:17) (牧師:北林行雄記)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください