老いることー2

前回は、人の原罪ということを自覚することが信仰の始まりですと申し上げたかったのですが、伝わったかどうかわかりません。つたない文章の所為なら一言もありませんm(__)m

今回は、汝の隣人を愛するということをちょっとだけ話せればと思っています。ま、感想の様なものですが(-_-;)
「老いること」と言うタイトルからは脱線しているかも知れまんが、老人の遺言代わりにお聞きいただければ幸いです。

日本は仏教が盛んですから、その信徒であろうと、なかろうと仏教の教えは理解している方は多いだろうと思います。
仏教では、人生には喜怒哀楽が、様々に、人それぞれにある。その中でも怒と哀はできれば、なるべくしたくないと思います。しかし、四苦八苦という言葉あるように、人間生きていればいろいろな苦しみに遭う。しかし、その苦しみも煎じ詰めれば、己に執着するから起こる。己れの欲望が、希望が、願いが満たされないことから、苦しみは起こる。つまり自分に執着すると本来の自分が見えなくなる。だから、自分への執着を捨てて、自らも自然の一部として、あるがままを見詰め、生きなさい。ということだろうと思います。(思想の深さについては今はご容赦ください。)

で、キリスト教はと申しますと、「自らの如く、汝の隣人を愛しなさい」と言われています。(これはキリスト以前の旧約聖書レビ記の中にある言葉なのですが、それは今おきまして)

隣人を愛しなさいというのですから、そこには社会的要素が含まれています。最初から、己れのみならず、隣人を意識しているわけです。人々が互いにどのように生きたらよいのかという意味合いが込められています。

で、ちょっと気になるのは、「自らの如く」です。仏教の教えでは人間の執着とも呼べるものはどこから来るかを突き詰めました、キリスト教ではそれを、原罪という言葉で表現します。自分にこだわる自分を捨てきれない。(自分をダメな人間だと思いたくないので、自分にこだわっているという自分をも認めない。見ようとしないで生きている人もいるくらいです。)人間とはそういうものだという訳です。仏教ではそういう自分を捨てることが大事なのだいうことだと思います。ところが、キリスト教では、「自らの如く、隣人を愛しなさい」とあります。つまり、自分を認めているのです。原罪のあるどうしようもないジコチューな自分ですが、ジコチューのままでいいから、その自分を愛するように隣人を愛しなさいということになります。

隣人とはつまり、他人です。他人を自分や自分の家族のように果たして、何人の人が愛せるでしょうか(愛するふりはできるかも知れませんが)。イエス・キリストは、更に進めて汝の敵をも愛せと言われます。いまウクライナの人はロシアの一方的な軍事侵攻と戦っていますが、そのときロシアを愛せるでしょうか?こんな質問は戯言だと言われてしまうのではと思います。当然に思います。敵を、また隣人を、母が子を愛するように愛せるでしょうか?

イエス・キリストはそれぐらいのことは当然理解しておられます。その上で、それでも愛しなさいと言われたのです。日本人は愛という言葉を普段使い慣れていません。愛と言う言葉も限定的に使っているように思います。(親子の愛とか、夫婦の愛とか、恋人同士の愛とか、勿論友情とか、仕事とかそういう愛もありますが、敵を愛するという意味で愛という言葉を使うことはないと思います。)

しかし、イエス・キリストの愛はもっと深くて、広いのです。無条件なのです。

「ちょっと待った、それは愛を突き詰めればそうなるだろうが、そんな愛を貫ける人間て果たしているだろうか?無理な要求じゃないか?そんな愛、人間には不可能なんじゃないか。人間はそもそも原罪を持つんだろ? それは、己れというこだわりから離れらあれない不完全なものということじゃないか。」と言う声が聞こえます。そのことは否定しません。なにしろ自分を顧みれば、それは明らかなのですから。

ですが、もう一度申しますが、

イエス・キリストの愛はもっと深くて、広いのです。

私たちに、神やイエス・キリストの愛を実現することは適わないとしても、だからダメなんだと諦めることはないと思います。できることはそれでもあると思うのです。

まずは相手を認めること。自分と意見が違っても、立場が違っても、思想が違っても、社会環境が違っても、性が違っても、年齢が違っても、肌の色が違っても、学歴が違っても、好みが違っても、また国が違っても、まずはお互いに相手と向き合い、まずは、あるがままの相手を認めること。そのように努力すること。そういうことから始めることはできるのではないでしょうか?

それもイエスの愛だと思うのです。

だから、私はイエスを真実の人として信じるのです。

信徒 廣瀬修

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください