信仰の生涯 ヘブル人への手紙11:1   (N兄召天記念礼拝)

私がN兄(教授)に最初にお目にかかったのは、今から27年前の1993年8月でした。当時私は県内のある企業の研究開発部門の責任者でした。富山県内の大学の先生方との技術交流会を持たせていただき、富山大学からも電子、機械、金属、化学、情報分野の教授が参加して下さいました。その時、N教授もご出席下さり、日立製作所の中央研究所におられたことをお聞きし、私もカナダの神学校に留学する前、12年間日立製作所の日立研究所に勤務しておりましたので、お互いに話が弾み、以後26年間大変親しくさせて頂きました。よく家内と共にご夫妻を訪問させて頂き、和やかな時を持たせて頂きました。

 N兄は誠実で温厚な方でした。音響技術や音声認識の専門家で、日本音響学会の佐藤論文賞を受賞された方です。私は地元の会社を辞し富山聖書教会の開拓を始めた頃に、N先生の研究室に籍を置いて、音声認識に関する博士論文をまとめさせて戴きました。先生には大変お世話になり心から感謝しております。

 ある時N教授から、「実は自分もクリスチャンで、高校生の時に信仰を持って洗礼を受けた。」とお話になられました。N教授は教師をされている親の元で厳しく育てられ、優等生であったと伺っております。高校生の若い多感な時に、机に向かっても心の中から雑念や不純な思いが沸き出て来て勉強に集中できず、大変悩まれたそうです。その解決を図るために教会の門を叩き、聖書を真剣に学ばれるようになられました。

 マルコの福音書7章18~23節に、イエス・キリストが「外から人に入って来るもの(食物)は人を汚すことは出来ません。しかし、人から出て来るもの、それが人を汚すのです。

内側からすなわち、人の心の中から悪い考えが出て来ます。淫らな行い、盗み、殺人、姦淫、貪欲、悪行、欺き、好色、妬み、ののしり、高慢、愚かさで、これらの悪は、みな内側から出て来て、人を汚すのです。」と言われました。

 使徒パウロは熱心に旧約聖書の律法を守ろうと努力しました。しかし、自分の体の中にしみついている罪、「自己中心的な思い」があって善をしたいと願っても,それとは逆な行動をとってしまう。自分は本当にみじめな人間だと告白しました。そしてこの死の身体から救い出すことができるのはイエス・キリスト以外にないことを発見しました。

N兄もこのことに眼が開かれてイエス・キリストを自らの救い主として信じられたのです。そして、1953年9月24日宇都宮の教会で洗礼を受けられました。

進学や就職で上京後、諸事情があって教会には行かれず、富山に来られてから60年ぶりに教会に戻って来られました。

2012年6月10日に奥様のA子姉妹の洗礼と同時に富山聖書教会のメンバーとして入会されました。日曜礼拝の時はいつもご夫妻が並んで最前列で聖書の話を真摯に聞いておられた様子をよく覚えております。

 N兄は聖書を愛読しておられました。聖書は世界のベストセラーです。天地万物の創造主である神様から私たち人間に送られたラブレターでもあります。

 私は聖書を読むと、いつも励まされます。神の愛の大きさに感動し、生かされていることの喜びに満たされるからです。

ヨハネの福音書3:16

「神は、実に、そのひとり子(イエス・キリスト)をお与えになったほどに世(私たち人間)を愛された。それは御子(イエス・キリスト)を信じる者がひとりとして滅びることなく、永遠のいのちを持つためである。」

神は私たち人間を救うために一人息子のイエス様を十字架にかけられたのです。イエス・キリストは罪のない正しい方です。その方が私たち人間の身代わりに十字架にかかって、私たちの罪を贖ってくださいました。それ故、イエス・キリストを信じる者の罪が許されて、私たちは滅びることなく、永遠のいのちを持つことができるのです。N兄は地上生涯を閉じられましたが、永遠のいのちが与えられていますので、私たちは天国にて、N兄と再会することができます。素晴らしい希望があるのです。

 N兄はいつも奥様のA子姉を気遣っておられました。A子姉は本来快活な方ですが、スモン病による不自由な体で大変つらい思いをされていました。そのA子姉がイエス・キリストを信じて洗礼を受けられた時、N兄は本当に喜ばれました。

その後N兄は息子さんの救いのために祈られるようになりました。本当に家族思いの先生でした。

 N兄は、高校生の時に信仰を持たれ、86歳で召天されるまで信仰の歩みを全うされました。まさしく、信仰の人でした。私たちはN兄とはしばしの別れを致しますが、やがて天国で再会できることを楽しみに期待しております。

ヘブル人への手紙11章1節

 「信仰は望んでいることを保証し、目に見えないものを確信させるものです。」

                          (牧師:北林行雄記)

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