ルツは異邦人(ユダヤ人以外)でありながら、イエス・キリストの系図に登場し、ダビデの曾祖母に当たる女性(マタイ1:5)です。
彼女の姑ナオミはユダのベツレヘムに夫と二人の息子と住んでいましたが、飢饉のために異邦人の地モアブに引っ越しました。夫の死後、二人の息子はモアブ人の娘ルツとオルパとそれぞれ結婚しました。
約10年間結婚生活を送りましたが、二人の息子も死んで、ナオミとルツ、オルパが残され(ルツ1:4-5)、深い悲しみの中に置かれました。そのときナオミは郷里ユダが神の憐れみによって飢饉がおさまり、パンを食することができるという情報を得ました。
そこで、彼女は嫁たちと連れ立ってユダの地に戻るため帰途につきましたが、ナオミはふたりの嫁に、自分達の幸せを求めて実家に帰ることを強く勧めました。なぜなら、ふたりの嫁はまだ若く、再婚のチャンスがあると考えたからです。その勧めに従ってオルパはナオミに別れを告げてモアブの実家に帰りましたが、長男の嫁ルツは「あなたの行かれる所へ私も行き、住まれる所に住みます。あなたの民は私の民、あなたの神は私の神です」と言って、ナオミと一緒に行くと堅く決心し、離れようとしませんでした(ルツ1:16-18)。
苦難が予想されるにも拘わらず、ルツは何故そのような行動を取ったのでしょうか。その理由は、
①ルツはナオミとの人間関係を大切にし、年老いたナオミを助けたいとの思いがあり、
②ナオミを通して主なる神の話しを聞いて、信仰を持っていたからです。だから、「主は私の神」と言いきったのです。
ルツはナオミと一緒に、大麦の刈り入れが始まった頃にベツレヘムに到着しました。そこでの二人の生活を賄うために、ルツは落穂拾いに出かけました。当時のユダヤ社会において、社会的救済として、畑に落穂を残し、それを貧しい人や在留異国人が拾う権利を与えていたからです。ルツが落穂を集めに行った畑は図らずも親戚のボアズの土地でした。
ボアズは買い戻しの権利を持った有力な親戚でした。ルツはボアズと再婚し、男子を出産しました。この子はオベデで、ダビデの祖父に当たります。オベデの誕生はナオミを喜ばせました。しかも、ダビデの子孫であるヨセフの妻マリヤから救い主イエス・キリストが誕生されました。
この事からわかることは、たとい悲惨な体験をしても、私たちが神を信じて従い続けると、大きな祝福を主なる神から受けるということです。希望を持って前進しましょう。
ーーーざわつき
ー あらまぁ、殿方には喜ばれる人よねぇ。ルツさんは。賢くて思いよりがあって、やさしい女って感じの人ですもんねぇ。だからって、こういう女性像ばかり求められてもねぇ・・・。私とはちょっと違うタイプだわね。ん?何か!
ー あ、いや。ただ、聖書の中には書かれていませんけれども、当然、ルツさんにも不安はあったでしょうね。義母さんと行動を共にするのは、勿論自分の意思には違いありませんが、その方が自分にとって明るい未来と希望があったからしたわけではないでしょうからね。むしろそういう不安を押しのけても、もっとこうしたいという思いが強かったのだと思いますね。単なる義理からだけではないと思うのです。
ー ま、それはそうですわね。今私たちは結果を知っているから、ルツさんを嫁の鑑みたいに思いますけど、本人の思いはそんな軽い動機ではなかったとは想像できますよ、私にも・・・。でもねぇ、なんかうまく出来すぎてる気がするんですよねぇ。動機が立派だからって、結果が必ず報われるなんてことあるかしら。
ー なるほどぉ、たまたまルツさんが上手く行っただけということですか?確かにたまたま上手くいったと言えるかも知れません。が、うまくいかなかったとしてもルツさんは止めたでしょううか?ルツさんは、こうすればうまく行くと計算してした訳ではないですよね。ただ自分がそうしたいという思いが、そういう行動をさせたのではないでしょうか?
ー まぁ、それはそうでしょうけど・・・。
ー そうしたいという思いはどこから来たのだと思われます。あなたがおっしゃる通り、そうしたから必ずハッピーエンドが待っているとは言えないですもんね。
ー そうよねぇ。
ー でも、義母さんと一緒に暮らすと強く心に決めていた。義母さんの面倒を見るのは私だと。これからこうして生きていくんだと決めさせたものは何だと思われますか?・・・それが主の御心に適うことだという、主を信じる思い(信仰)があったと思われませんか?この思い、行動の強さは、人間だけの思いで果たして実行できるでしょうか?先ほどあなたが、なんかうまく出来すぎてると思うとおっしゃいましたが、ルツさんは自分の思いでうまくやろうとかは全く思っていなかった。ただ、主の御心に添うことをしようとしただけ。だから、主がそれに応えられたのだとは思われないでしょうか?
ー う~ん、私、そこまでなかなかなり切れないのよねぇ。現実問題として。大体うちの旦那なんか、私がしてくれて当たり前だと思ってるんですから。せめて感謝の言葉ぐらいかけてくれていいと思いません?それって、報酬を求めてることになります?それぐらいいいんじゃありません?
ー あ、まぁ、お互い感謝の気持ちは大事ですね。
ー でしょ、私これから感謝の気持ちがなかったら、なんでもしてやるのやめようかしら。
ー あ、いや、だからと言ってですね。あれ、話が・・・(^_^;)